息子と沖縄でダイビングをした結果

私には息子がいますが、血は繋がっていません。妻の連れ子で、息子が五歳の時に私たちは再婚をしました。五歳とは言え、そこにはもう立派な人格が宿っています。見ず知らずの人間が来て、すぐに懐くとは考えていません。ゆっくりと時間をかけて関係性を構築できればと考えていたのです。こうして一年が過ぎ二年が過ぎ、あっと言う間に七年が経過していきました。依然として、私は息子との関係性を構築できてはいませんでした。

そんな折、妻が息子の小学校最後の夏休みだから沖縄へ旅行へ行かないかと提案をしてくれたのです。沖縄と聞いて、私も胸が騒ぐことがありました。実は若かりし頃、マリンスポーツにハマっていた私はよく沖縄へ遊びに行っていたのです。特にお気に入りだったのがダイビングです。その瞬間に、良いことを思い付きました。息子をマリンスポーツに誘ってみようと思ったのです。

こうして私たちは沖縄旅行へと赴いたのですが、相変わらず息子の表情は冴えません。嬉しさはあるのでしょうが、それを私の前で見せるのは憚られるようです。しかし、私は何となく自信がありました。得意のマリンスポーツ、そしてダイビングを一緒に体験することが出来れば、カチンコチンに固まった息子の心を氷解させることが出来るだろうと。

そして二日目、いよいよマリンスポーツへ向かう時が来ました。息子は黙ったまま付いてきましたが、表情からは興味津々の雰囲気を漂わせています。そこで道中、私は息子と二人きりでマリンスポーツについて、そしてダイビングについて語り始めたのです。息子は黙ったまま、こちらをじっと見て聞き入っていました。

こうして歩きながらダイビングショップへ向かうと、旧知のインストラクターと合流をして海へと向かったのです。当初はダイビングをと思ったのですが、いきなりではハードルが高すぎるので今回はシュノーケリングをしてダイビングの雰囲気を味わってもらうことにしました。息子は少しがっかりしたような表情を見せつつも、どこかで安堵の表情もしていましたね。

この日の夕方、息子はこれまでには無いほどに興奮をし、昼間に体験をした感動の瞬間を私に熱く語ってきました。行きとは真逆の光景ですね。海に潜った息子は、すぐに感動の坩堝に引き込まれたのか、私の腕をグッと握りながらもっと潜ろうと促してくるのです。私はそれが嬉しくてたまりませんでした。これまでは感情を押し殺していた息子でしたが、目論見通りにこの沖縄のダイビング体験が全てを氷解させてくれたのです。

あの日以来、息子は私のことを「お父さん」と呼んでくれるようになり、成人を超えて社会人になった今では「親父」と呼んでくれるようになったのです。あれから何度も沖縄へシュノーケリングやダイビングをしに一緒に出向き、今では本当の親子以上の関係性になれたと思います。やはり素晴らしい風景は、どんなに凝り固まった心でも解きほぐしてくれるのでしょうね。私たちの場合は、それはが沖縄だったのです。懐かしい思い出です。